LZ127profile

コラム:ドイツ陸海軍飛行船の船名

L9

陸軍の場合

ドイツ陸軍飛行船の船名は少々複雑である。

陸軍では1906年建造の「LZ3」を陸軍最初の飛行船として採用し、これに「ZⅠ」という船名をつけた。

2隻目は1909年に完成した「LZ5」で、これは「ZⅡ」と命名された。
しかし、翌年墜落したため「LZ9」を改造し、これを「ZⅡErsatz」として採用した。
"Ersatz" とは代船という意味である。

4隻目は1912年製の「LZ12」で、これは「ZⅢ」となった。
(この年完成した「LZ14」は海軍最初の飛行船「L1」となっている。)

その翌年完成した5隻目の「LZ15」は、その年に「ZⅠ」が解体されたので「ZⅠErsatz」と命名された。
ところが、この飛行船も間もなく壊れてしまった。

同年「LZ16」が「ZⅣ」として就役した。陸軍6隻目の飛行船である。

その年には「LZ19」が2代目の「ZⅠErsatz」となった。誠に紛らわしい命名である。
陸軍では「ZⅠ」からローマ数字で一貫して欠番なしで揃えておかなくてはならないと思ったのだろうか?
当時の飛行船の寿命は1~3年程度のものである。

同じ硬式飛行船でも1914年製のシュッテ・ランツ型の第2号船「SL2」は「SLⅡ」と命名された(陸軍8隻目の硬式飛行船)。

9隻目(「LZ20」)は「ZⅤ」、10隻目(「LZ21」)は「ZⅥ」、11隻目(「LZ22」)は「ZⅦ」、12隻目(LZ23」)は「ZⅧ」、13隻目(「LZ25」)は「ZⅨ」と、ここまでは順序通りであるが、14隻目(「LZ26」)が「ZⅩⅡ」、15隻目([LZ29」)が「ZⅩ」、16隻目(「LZ30」)が「ZⅩⅠ」と混乱してきた。

そこで17隻目から22隻目(21隻目はシュッテ・ランツの「SLⅤ」である)まではツェッペリン社の製造番号と同じく「LZ34」、「LZ35」、「LZ37」、「LZ38」、「LZ39」をそのまま船名にしている。

ところが23隻目(「LZ42」)からはツェッペリン社の製造番号に30を加算して「LZ72」などとしたのである。

この符番はドイツ陸軍最後の飛行船「LZ120」(ツェッペリン社製造番号「LZ90」)まで踏襲された。

シュッテ・ランツ型については「SLⅩⅩⅠ」まで一貫して同じ符番要領であった。

海軍の場合

海軍はツェッペリン型については「L1(LZ14)」から「L72(LZ114)」まで "L"+ "アラビア数字の一貫番号"とし、シュッテ・ランツ型は製造番号そのままを用いていた。

備考

なお、陸海軍とも少数ながらパーセヴァル式軟式飛行船も採用していた。

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