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「グラーフ・ツェッペリン」で世界周航

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第二、第三区間

明治神宮-百貨店で買物

8月20日の朝、9時にベアヴァルトがカウダー氏と私を迎えに来た。
彼の家に行くと、愛想の良い夫人がもてなしてくれ、ドイツらしい最初の歓迎の飲み物がドイツ人の家で振る舞われた。
ベアヴァルト氏の日本人運転手が我々を壮大な霊廟である明治神宮に連れて行った。それはベルリンの兵器庫と同じくらい大きく、素晴らしく豪華な大理石で造られ、鬱蒼とした木立のなかに建てられており、長い回廊に展示された皇室の歴史を見学した。
そこには和風ではなく純粋に西洋風の非常に変わった絵画があった。
80年代、90年代の様式で日本の歴史が表現されていた。婦人たちは洋服を身につけていた。
アントン・フォン・ヴェルナーの歴史絵画を子供っぽくしたような絵であったが、そこには、しばしば驚嘆すべき画面配分が見られた。

それから我々は三越百貨店に逃げ込んだ。
読者は日本のデパートを想像できるであろうか?
ヴェルトハイム、ティーツ、カールシュタット、あるいはヴロンカーを考えてみると良い。
至るところで日本人男女を見かけたり、色とりどりの衣装をまとった子供連れの群衆などが、あちらこちらで押し合ったり、楽しげなものがそこら中で展開されていた。

Kは、私がまだ買い物をしていたので、もうすっかり成り行き任せになっていた。
Kは、私が買い物をやめないので、すっかりイライラしていた。
私が買っているのはガラクタばかりだと彼は言った。確かに彼の言う通りである。
しかし、この小さな玩具のような色彩豊かな小間物、ペーパークラフトやギフトカード、計算器や封筒などに私はすっかり魅了されてしまった。しかも、それらはとても安かった。
カウダーは、その重さでエッケナーを喜ばせるために、そのほかに日本の大きな揺り木馬や刳りぬいた樹幹を紙くず籠として包装させれば良いと私に言った。
結局、私と同じくらい沢山の包みを彼が抱えているのを見て、私はにこにこしながら買い物を続けた。彼は、私を思い止まらせようとするかのように皮肉っぽく大きく瞬きをして私を見た。

午後は、我々のホテルの向かいにある公園で歓迎会があった。
時間に正確な我々は一番にその場所に着いた。
大きな赤い造花で飾られた、人々が挨拶したり笑ったり普段は楽団が演奏するであろう円形広場に案内された。

我々がこの「園亭」に上がるやいなや、とてつもない歓声が響いてきた。我々の前の幅の広い正面には50列にもわたる日本人がひしめき合っており、最前列からはずっと向こうまで頭しか見えなかった。

その頭の上には小さな、黒・赤・金の旗がはためいていた。
カウダー氏は、出来ることなら椅子の下にもぐりたいと言った。私は彼に、反対側から追いかけると言った。しかし、それは出来なかった。我々は帽子を振らねばならず、そして座らなければならなかった。
次第にほかの人々、乗組員たちが来て、エッケナーもやってきた。
1時間にわたって演説、演奏、映画撮影、写真撮影、歓迎行事が行われた。

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