LZ127Profile

「グラーフ・ツェッペリン」で世界周航

SanFrancisco

第二、第三区間

太平洋上航行

陸地だ!ロサンゼルスだ!

8月25日の午後であった。飛行船は激しい風に逆らって轟音を上げていた。
「陸地が見える!」という声が飛行船内に響いた。
それは日曜日の午後4時前であった。遠く青い海の彼方にカリフォルニア海岸が輝いていた。我々は大喜びした。
乗船仲間のスペイン人、イダルゴ・メヒアスはすべての発泡酒を買い占めて、飛行船全体が、その海岸線の眺めに彼と乾杯しなければならなかった。
5時過ぎにサンフランシスコに到着した。我々は、高度600メートルで鋼のように青い空を進んだ。

水平線はほのかに暗赤色を呈していた。断崖の上に最初に見えた住居は、高いところから見ると、まるでカットした誕生日のまるいタルトのように見えた。家々は小さな煉瓦色のボンボンのように建っていた。
海上には無数の軍艦が浴槽に浮かべた玩具のように浮かんで見えた。そして岩山の反対側には摩天楼がドミノゲームの牌のように同じ高さで聳えていた。
祝砲とサイレンが響き、汽船は汽笛を吹奏した。突然、大騒ぎになった。

黄、青、赤に彩られた百機もの飛行機など航空機の群れが我々のまわりを取り囲んだ。飛行船は市街地、金門湾の上空で大きく円を描き、サンフランシスコ湾へと進み、オークランドに連なる丘の上空も航行した。

街も海もそれらをつつむ景観も夕陽に照らされて、圧倒される美しさのパノラマであった。乗船していた若いアメリカ士官は、この光景に感動して、野生の叫び声あげた。
我々は皆、いっぱいになった胸に空気を入れるべく、一緒になって叫んだ。

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