この休憩ラウンジ「巻雲」の最初の項で、著名な研究家がその著書の中でエッケナー博士が「LZ1」の飛行をフランクフルト新聞に報告したのは10月17日の第2回ではなく、7月2日の第1回であったと誤記していたことを指摘した。
ツェッペリンやシュッテ・ランツなど硬式飛行船の当時を知る研究家は1913年生まれのロルフ・イタリアンダー、1925年生まれのペーター・クラインハインス、年齢的にはその2人のあいだにあたるダグラス・ロンビンソンなど限られた人達であり、それぞれ複数の研究業績を書籍として残している。
その何れも権威のある名著であるが、上記のような間違いもあるので吉村 昭氏の言うように「必ず別の情報源と照合すること」は必要である。
最近、それらの古典とも言うべき書籍の中に間違いを見付けた。
この写真は、その本の「LZ126」の項である。
右下の写真はフリードリッヒスハーフェンを離陸した「LZ126:ZRⅢ」であるが、右上の写真は「LZ127:グラーフ・ツェッペリン」の写真である。
「LZ126:ZRⅢ」のゴンドラ(見出しの写真)とは明らかに異なる。
本文も精読してみたが、当然ながら「LZ127」に関連する記述はない。
「LZ126:ZRⅢ(ロサンゼルス)」はアメリカ海軍の受領委員を乗せて1924年10月13日朝6時にフリードリッヒスハーフェンを出発して15日の朝9時にレークハーストに到着している(所要時間81時間:時差6時間)。
この出発日も多くの資料では最初の予定通り12日としているものが多い。
ちなみに「LZ127:グラーフ・ツェッペリン」の右舷乗船口の前、舷側に出ている小さなプロペラは風力発電機のものである。
火が使えないので電気式厨房にしたのであるが、左舷側の無線室の電力とともに風力発電機で賄っていた。
このように一冊の書籍、一駒の写真で随分調査を楽しむことが出来る。
写真の間違いに関しては、裏焼で印刷されているものもある。
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